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執筆者の写真Kanako

母とさくらんぼと私


「部屋とワイシャツと私」のようなタイトルで

(この曲名すらキョトンな方もいらっしゃるかも)こんにちは。

懐かしい曲を聴くと思い出す記憶や、懐かしい思いがあるように

食べ物にも紐づけされた思い出がありませんか?


私はこの時期、店先で、デパ地下で、スーパーで、

サクランボを見ると毎年必ず駆られる郷愁があります🍒



私はさくらんぼが大好きで、

6月生まれの私の誕生日には、母が必ずさくらんぼを買ってくれました。

小さい頃の誕生日会の写真には、ケーキやご馳走と一緒にテーブルに並んださくらんぼ。

大人になった今、その写真を見ると、母の思いを感じて胸がきゅぅ~となります。


5歳の誕生日に、誕生日会用のホールケーキを母と焼きました。

生クリームでデコレーションしたあと、

泡だて器に付いたクリームを指ですくいペロッと舐めた時、父に「行儀が悪い」と叱られました。

それは、父がいた最後の誕生日でした。


父は、私が小学校入学の直前に家出をして、そして戻りませんでした。

どこにいるのかもわからない年月は、私が20歳になるまで続き、

私が30歳の時、とうとう再会することなく他界しました。

父との記憶は数えるほど少ないのに、よりによって誕生日に叱られた思い出が残るとは、、、

それも、生クリームペロッ、ぐらいで叱らないでよ、父。


今年の誕生日、朝いちばんに母からバースデーメッセージが届きました。

昨年は、前日の夜に「明日は誕生日ですね」」とLINEが送られてきました。

おととしは、「大粒のさくらんぼを頂いたので、明日ポストに届けておくね」と連絡があり、

蒸し暑い初夏の昼下がり、電車に乗り、バスに乗り、

仕事で留守の我が家のポストにさくらんぼを届けにきました。


父がいなくなった後も、誕生日にはさくらんぼを用意してくれた母。

とんぼ返りになるのがわかっているのに、さくらんぼを届けに来る年老いた母。

母が子を想う気持ちは、私も母となった今、よくわかるようになり、

少し色あせた幼少期の誕生日会の写真を見ると

母の思いが詰まったその風景に泣きそうになるのです。




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