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【連載】 腸活のキーワード「短鎖脂肪酸」とくに「酪酸」

執筆者の写真: KanakoKanako

短鎖脂肪酸のお話に入る前に、簡単に腸内細菌の研究について触れておきます。


腸内細菌の研究を大きく前進させたのは、2005年頃の次世代シーケンサーの登場です。

次世代シーケンサーは膨大な遺伝情報を短期間で解析できる技術で、

腸内細菌のゲノム解析が容易になり、これまで解析が困難だった微生物群の多様性や

腸内細菌の機能が明らかになり、腸内細菌と健康との関係に関する理解が深まりました。



2010年代には、腸内細菌と免疫系、消化、メンタル、肥満、糖尿病、アレルギーなどとの関連が注目され、

腸内細菌が病気の予防や治療において重要な役割を果たすことがわかってきました。


腸内細菌の研究はまだ浅く、今なお発見されていない腸内細菌もいるような状態で、

新しい発見も続々と出て、情報も更新され続けています。



腸内細菌の研究が加速した頃から「ビフィズス菌」が腸活のキーワードのように頻出していましたが、

今は短鎖脂肪酸、とくに酪酸が腸活のキーワードとなっています。


短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維や他の難消化性物質をエサとして発酵させる過程で生成される脂肪酸で

腸内フローラのバランスを整えるだけでなく、健康にも多くの重要な役割を果たします。


腸内細菌が作る短鎖脂肪酸は主に3つ

1,酢酸

2,酪酸

3,プロビオン酸


短鎖脂肪酸は、主に腸内のpHを低下させ、腸内が酸性の環境を整え、病原菌や腐敗菌の抑制や、有用菌(ビフィズス菌など)繁殖の促進などで腸内環境を整えるだけでなく、

腸内の異常細胞増殖を抑制して大腸がんリスクを軽減したり、

腸内の免疫細胞に働きかけて過剰な免疫反応を抑えたり、必要な免疫応答を促進したりしてアレルギーや自己免疫疾患のリスクを軽減するなど、免疫系のバランス維持などの重要な働きがあります。


特に酪酸腸粘膜のエネルギー源として利用され、腸壁上皮細胞(腸内細胞)の維持や修復を助け、

腸内バリア機能を強化有害物質や病原菌の侵入を防ぎます。=免疫力向上

腸壁が健康に維持・修復されることにより、腸内細菌が腸内でつくりだした代謝物の吸収率が上がり、

腸壁から血液に取り込まれた成分が、体内で栄養や調節物質として利用され、

脂肪や糖の代謝(肥満改善)など、腸内から体全体にわたる健康効果を期待されています。


短鎖脂肪酸を生成する主な微生物については以前のブログで書きましたので、ご参照ください。


短鎖脂肪酸の中でも特に「酪酸」に注目していただきたい理由は前述しました「腸粘膜のエネルギー源」になるという点です。

腸粘膜を構成する細胞「腸内の上皮細胞」は前述の通り腸内での栄養素の吸収、免疫機能の維持、腸内バリア機能など多くの重要な役割を担っていますが、細胞が正常に働くためにはエネルギーが必要です。

この腸内の上皮細胞のエネルギー源が酪酸で、酪酸を作り出す酪酸酸性菌がなぜ重要かがお分かりいただけると思います。


では、酪酸ををはじめ短鎖脂肪酸である酢酸やプロビオン酸を増やして腸内環境を整えるためにはどうしたら良いのでしょうか。

答えはシンプルで、腸内環境を整える菌のエサとなるものをたくさん食べる事、です。

次回は、短鎖脂肪酸を増やして腸内環境を整え、体調改善、メンタル向上、ダイエット効果につながる心がけをお話したいと思います。



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